太宰が愛したもの


写真は津軽半島の中ほどになる金木町の芦野公園入り口付近、津軽鉄道の踏み切り。桜の花が終わりかけていたのだが、この線路との構図が気に入ってパチリ。

この芦野公園(大きな池や吊り橋があり桜の名所百選でもあるらしい)には、太宰治の文学碑がある。大宰も愛した公園で、幼少期に良く遊んだとのこと。
この後、太宰治の生家「斜陽館」に行って見た。
大宰が作品の中で「父がとても大きな家を建てた。大きいだけで何の趣も無い。」(だったかな)と書いているとおりの印象だった。大きくて豪華なのだが、何か、人の住まいという感じがしないのだった。
ところで、筆名である太宰という言葉には「百官の長」という意味がある。
太宰を筆名に決めた訳には諸説あるが、自分が小作人百人余りを要する地主の子であることに嫌悪感を持っていた彼が、太宰という筆名を選んだのは皮肉のような気がするのは私だけだろうか。

そういえば、この日は津軽半島陸奥湾に面した方にある蟹田(かにた)にも立ち寄った。蟹田の名物の一つで有名なのが蟹田ガニ。土地では毛ガニと言っているそうだ(学術的にも毛ガニの一種)が、私達が一般に見る毛ガニより毛が少なくて、「トゲクリガニ」という種類なのだそうだ。この漁期はとても短くて四月の下旬から五月の上旬の十日程しかないとのこと。津軽の遅い花見の時期が旬というわけだ。
この蟹田ガニは太宰治の小説にも登場している。