盛岡って素晴らしい

え〜っ!今ごろって言われそうだけど壬生義士伝を読了した。
最初、TVドラマを少し見たときに南部弁がわざとらしく感じられ、見ないでいた。
映画も面白くないだろうと勝手に決めて見に行かなかった。
ところが、最近になって盛岡に来る人が、「あれが岩手山か?」、「お城はどこ?」などと聞く。
そうしてそれは、壬生義士伝に感動したからだと言う。そこまで言われると、地元の、しかも盛岡を愛する私としては、一度ちゃんと読んでおく必要があると思ったのだった。幸いなことに今では文庫版も有る。

読んでみると引き込まれる。確かに感動する。
私は盛岡から十数キロ南の農家で生まれ育った。
自宅の真東に早池峰山を望み、北に岩手山姫神山が見えるところだった。だから小さいときから岩手山が見えるのがあたりまえで、特別に美しいと感じることなく育っていた。
これまで岩手山早池峰山に何度か登ってはいるのだが、壬生義士伝で何度も言われているような特別な感情を意識したことが無かった。
でも、今は岩手山が奇麗に見えると心が和む。また新幹線で盛岡に帰ってくる途中、車窓から岩手山が見えると懐かしく感じられ、帰ってきたなぁと思う。
壬生義士伝の中に夕顔瀬橋から岩手山を望むシーンが有る。なるほど、この橋から北上川の水面と岩手山の見える構図は素晴らしい。
壬生義士伝は盛岡に住む人が読むと、盛岡の良さ、岩手山の素晴らしさを再認識するのだと思う。
盛岡や岩手山の記述に「そうだよなぁ」というところが随所に有る。武士道や戦いのシーンはともかく、南部藩の人々が盛岡と言う街の美しさに誇りを持ち、岩手山の美しさに感動していたかが繰り返し登場する。
先日、盛岡に来た「大和の姫」さんも、岩手山の美しさに見とれていたと言う。
私も若い頃には東京に憧れたときがあったが、今では盛岡に住んでいることを幸せだと思っている。
春は桜と梅がほぼ同時に咲き、続いてツツジアジサイが彩る。市街地の真ん中を流れている中津川はとても清らかで秋には鮭が遡上して散乱する様子が、市役所の裏あたりの与の字橋の欄干からも見える。
冬には雫石川北上川などで白鳥が見られる。冬の凛とした冷たい空気も良い。
壬生義士伝は私にあらためて盛岡の素晴らしさを感じさせた。